2つの記事の続きです。
今回もパイロブロイン絡みで、「鉄の巨人と古代のエネルギー」を考察します。
①鉄の巨人とセントブリス
エッグヘッドには「鉄の巨人」が眠っていました。
作られたのは900年前。
そして、マリージョアを襲ったのが「200年前」だという。
この200年前といえば、魚人差別に動きがあった年だとロビンが発言(1067話)していましたが…少し遡った「210年前」、南の海のブリス王国から「セント・ブリス号」が出航しています。
そして、その10年後となる「200年前」に空島で雲流しの刑を受けて、200年間空を彷徨っていたそうです。
鉄の巨人と「200年前」で繋がります。ここが今回注目したいポイント。
先に私が考えている結論を言うと、
「セントブリス号は、鉄の巨人の動力となる“パイロブロイン”を求めて空島へ来た」
まだ乱暴に結び付けているだけに思えますよね。しかし、上の様に考えると色々と辻褄が合ってくるんです。
まず冒険船セントブリス号の乗船者について考えます。
冒険船と学者
これまで描かれて来た冒険船には「学者」の存在が付きものです。
▼植物学者|ノーランド(北の海)
▼考古学者|クローバー(西の海)
どちらも海賊船ではなく、冒険船(探検船)に乗っていました。
となると、ブリス王国の属する「南の海」の冒険船セントブリス号にも学者が乗っていたのではないかと考えられます。
では何学者なのか?
南の海=科学&メカ
答えは「科学者」だと思います。南の海は「科学やメカ」でまとめられているからです。
▼南の海出身者
フランキーはサイボーグ、くまはパシフィスタ、キッドも磁気という物理要素でメカメカしい攻撃をする。そして、フォクシーもノロマ光子という物理要素を駆使するキャラだ。
▼“南軍”軍隊長リンドバーグ
革命軍の東西南北の海に配置されている軍隊長のうち、南の海を任されているのはリンドバーグ。彼は兵器開発を得意とした科学者です。
▼ワポルのその後
ワポルがルフィにぶっ飛ばされた先は南の海。
そこで形状記憶合金「ワポメタル」を生み出し、悪ドラム王国を建国したのも南の海。
この扉絵連載でもちゃんと科学者が登場しています。
そして、上のフランキー将軍の完成を可能にしたのがワポメタル。南の海で繋がっています。
(この扉絵の更なる重要な意味は記事後半で)
▼トリノ王国
チョッパーがくまによって飛ばされたトリノ王国も南の海。高い科学力を持っている国でした。
以上の様に他の海に比べると圧倒的に「科学&メカ要素」を集中させているのが南の海なんです。
ですので、セントブリス号には「科学者が乗っていた」と考えられるわけです。
では、何故それが「鉄の巨人」と繋がってくるのか?次はそれを説明していきます。
②鉄の巨人のモチーフ
ベガパンクは鉄の巨人に習って「ベガフォース1」を作ったと言いました。(1067話)
そのベガフォース1のモチーフ、
どこからどう見ても「鉄人28号」なんですよ。
鉄人28号とは、1960年に放送されていたアニメで、今や日本アニメの一大カテゴリーである「巨大ロボアニメ」の元祖の中の元祖です。マジンガーZ、ガンダム、エヴァ、全てのロボの先駆けはこの鉄人28号なんです。
ただ、尾田さんは1975年生まれ。戦隊モノやロボに一番ハマるのは4〜6歳頃が一般的なので、1960年では時代が合いません。
なので1980年前後に放送されていたアニメからの影響が一番強いと思われます。
その証拠にこちらのSBSをご覧下さい。
未来ロボ ダルタニアスは1979年放送、大馬神が出てくるアニメは1981年。まさにドンピシャで1980年前後のロボアニメから影響を受けているわけです。
では、鉄の巨人及びベガフォース1はやっぱり鉄人28号モチーフではないのか?
そんな事はありません。
こちらをご覧下さい。
1980年に放送されていた鉄人28号の第二弾です。(当時尾田さん5歳)
4〜6歳頃のロボアニメから影響を受けまくっている尾田さんがこのメジャー作品を観ていない訳はないと思うんです。
鉄の巨人及びベガフォース1は、これがモチーフだと思います。
さて、本題はここから。タイトル右上をよくご覧下さい。
「太陽の使者」
第一弾で謎になっていた鉄人28号の動力は、この第二弾では「太陽エネルギー」という設定になっているんです。第一話からそれを巡る戦いが始まります。(興味ある人は一度ご覧下さい→【公式】鉄人28号 第一話)
結論、私は、“鉄の巨人”の動力もこの「太陽エネルギー」では無いかと考えています。
「モチーフだから動力も同じだ」なんてあまりに安直過ぎるとは思います。
ただ、レッドラインをよじ登った2人のキャラを思い返して下さい。
▼フィッシャー・タイガー
タイヨウの海賊団船長のフィッシャー・タイガー
▼バーソロミュー・くま
服に太陽十字、いつも持つ聖書に太陽、出身国ソルベの「ソル」はラテン語で太陽の意。
▼鉄の巨人
この流れでくるとやはり鉄の巨人も「太陽」と絡んでくるのでは無いかと考えられるわけです。
レッドラインでは無いですが、ドラム王国で崖をよじ登ったルフィも太陽の神ですしね。
つまり、“鉄人28号モチーフ”、“レッドラインよじ登りの太陽繋がり”から、ベガパンクの言う鉄の巨人の動力=「古代のエネルギー」とは「太陽エネルギー」ではないかと。
だから消えない炎から「人工太陽」を作ろうとしているのではないでしょうか。
で、
繋がってくるのがこのセントブリス号のマーク。
太陽モチーフなんじゃないかなーと。
もしそうなら、作中3つしか語られていない200年前の要素が全て太陽で結び付けれてきます。
・魚人→太陽シンボル
・セントブリス→太陽シンボル
・鉄の巨人→太陽エネルギー
更に、
もしも古代エネルギー=太陽エネルギーなら月の壁画とも合致して来ます。
左右の壁画の似た様な丸い物体に注目して下さい。
左は恐らくホンモノの太陽。
右の乗り物の上にあるのは、動力となる「人工太陽」なんじゃないかと。どことなくセントブリス号のマークにも似ています。
「いやいや、ちょっと待て。月の都市のエネルギーは“電気”だろ?」
そう思った人もいるでしょう。
そうなのですが、その電気を生み出すのが太陽エネルギーなのではないかということです。
例えば、火力発電は「石炭(資源)」を燃やして、その「熱エネルギー」から「電気エネルギー」を生み出しています。
つまり、「◯◯◯(資源)」から「人工太陽(太陽エネルギー)」を作り出して「電気エネルギー」を生み出していたのではないかということです。
だってわざわざ「古代のエネルギー」なんて言い方したのに、それが「電気エネルギーでした」ではなんかインパクトに欠けません?「うん。エネルの扉絵で見たヤツ。」ってなりませんか?
それにせっかく空想を実現出来る漫画なのですから、現実には未だないワクワクするエネルギーを使うと私は思います。
では、その人工太陽エネルギーを生み出す「資源」とはなんなのか?
それこそが「パイロブロイン」だと睨んでいます。
③パイロブロインのネーミング
多分英語に詳しい人はピンと来ると思うのですが、「PYRO」は火に関係する単語に使われます。
例えば、
・Pyrotechnic→火工品(花火や爆弾を扱う道具の総称)
・Pyromaniac→放火魔
といった具合に。
パイロブロインのパイロにも同じ意味が込められているのなら、やはり「火」に関係しているのではないでしょうか。
太陽は、水素が絶えず反応しているから消えない炎となって燃え続けています。つまり、水素(資源)を利用すれば現実にも人工太陽が作れるのです。(莫大な費用と超高度な施設と技術が必要)
しかし、漫画でそのまま「太陽は水素で作れる!」と言っても面白味に欠けますよね。だから“火”の意味を持つパイロブロインを設定に入れたんじゃないでしょうか。
つまり、ONE PIECEではこういうこと。
「パイロブロインに何らかの化学反応をさせることで人工太陽が作れる」
そう考えるとセントブリス号が危険を顧みず空島へ行ったことにも納得がいきます。
空島には潤沢なパイロブロインがあるからです。
もしかするとどこからやって来たか分からない鉄の巨人は、空で動力を得て降って来た可能性もあるかも?
最後にもう一つ。鉄の巨人と空島が繋がる根拠を書きます。
④扉絵の繋がり
長年ONE PIECEを読んでいるとこんな法則に気が付きます。
“表紙連載の内容”とその時の“本編の内容”は繋がっていることが多い
例えば、
シャボンディ諸島編ではCP9の表紙連載が描かれていました。
シャボンディ諸島で初登場したキャラに注目して下さい。
・ボニー
・黄猿
・戦桃丸
・パシフィスタ
・天竜人
ここにCP9でジャンプ派の方はピンと来ませんか?
現在進行中のエッグヘッド編に再登場中の面々なんです。
恐らく、シャボンディ初登場の面々とCP9が後にエッグヘッドでまとめて再登場することがプロットに組み込んであるから同時進行させていたのだと思われます。
ゲダツの表紙連載とフォクシー編も繋がっていますが興味ある人はこちらを後でご覧下さい。
あとは145話〝受け継がれる意志〟という超重要ワードがサブタイトルになった回の扉絵は、ジャンゴのダンス天国のダンスコンテストの様子。
ジョイボーイが踊り子の神をモデルにしているであろうことが話題なっていましたが、ここも恐らく計算されていましたね。恐るべし尾田栄一郎。
で、空島編で同時進行していた表紙連載がこちら。
上で紹介したワポルのやつなんです。
右の科学者が注目した鉄の巨人に皆さんも注目。
はい。名前も見た目も流石にこれは鉄人28号。笑
で、デフォルメされた頭のトサカ。
ニワトリですね。
ニワトリといえば何と共に鳴きますか?
〝夜明け〟
つまり太陽と共に鳴きます。ここにも「鉄の巨人と太陽」の繋がりが見られるわけです。
更に、科学者が鉄朗を調べてる一つ前の254話サブタイトルを見て下さい。
〝夜明曲〟
繋がりますねぇ。
で、その一つ前の253話。
ここでパイロブロインの話をしているんです。
なんかみるみる繋がりますねぇ。
つまり、
「ワポルの表紙連載は鉄の巨人の匂わせが見られ、その鉄の巨人は平行して描かれていた空島編と深い繋がりがある」
というのを示唆しているのではないかということです。
では、3回に分けて書いて来たパイロブロイン考察をまとめましょう。
まとめ
・月の資源=パイロブロインを含む物質
・古代のエネルギー=太陽エネルギー
・人工太陽から電気エネルギーを生み出していた
・パイロブロインが枯渇し青色の星へ
・パイロブロインが潤沢な空島に定住
・ゴムが無かった、ダイアルがあったので電気は使わなくなった
・PHの子供,セラフィムの巨大化はパイロブロインの投与
・グリーンブラッド、SADにはパイロブロインが含まれる
・悪魔の実の再現にはパイロブロインが不可欠
・陽樹イブ×パイロブロイン×魂=悪魔の実
パイロブロイン万能過ぎかよ。と思うかも知れませんが、万能なんだと思います。そういう成分を描きたかったんじゃないでしょうか。この物語において重要な位置付けにある設定なんだと思ってます。ちなみに、パイロブロインは海楼石に含まれていますが“能力の無効化”はパイロブロインによるものではないでしょう。空島でルフィもエネルも雲に触れても力抜けてなかったので。海を固形化しているのがパイロブロインなんじゃないかなと。
まだ❶と❷を読んでない人は読んでね。
ではまた。
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