「D」には「Dawn=夜明け」という意味が込められているというのは有名な説だ。これは「D」を横にすると「日の出」に見えることからも私も非常に有力だと考えている。
ただ、「D」を横にすると「虹のアーチ」にも見えないだろうか?
今回は作中に描かれたいくつかの「虹」の描写を深掘りして、「D=虹」の可能性を示していこう。
ONE PIECEのラストを暗示する「虹」
ONE PIECEは、シンプルに言えば「自由vs支配」を描いた物語だ。
その物語の結末を素直に考えたときに思い浮かぶのが「自由を勝ち取って『真の世界平和』を築くこと」ではないだろうか。
それが実現されたラストには多くのことが叶うと予想されるが、その一部を3つ挙げる。
①種族を越えて平等に暮らせる差別や偏見のない世界
②現世界政府「加盟国と非加盟国」という概念がなくなり全ての国が一つになる
③麦わらの一味全員の夢が叶う
今までこれらのラストを暗示する描写があったのだが、その全てに共通して描かれたものがある。
それが今回着目した「虹」だ。
まずは、虹と①と②との関係から示していく。
①種族を越えて平等に暮らせる差別や偏見のない世界
このラストを連想できるのが2つの海賊団。
・ビッグマム海賊団→83巻表紙
・フォクシー海賊団→304話冒頭
それぞれに「虹」が描かれているのだ。
まず、ビッグマムの統べる「万国」は多種多様な種族が暮らしている。ビッグマムの歪んだ思想によって「真の平等」とは言えないが、かなり物語の終着点に近いとは言える。
そのビッグマム編が描かれた83巻の表紙は、見ての通り「虹」の要素を強く描いている。
次に、規模は違えどフォクシー海賊団も魚人族や異形な人間達が仲良くしている。ディービーバックファイトで珍獣チョッパーを最初に仲間にしたことからも偏見を持たない集団だと分かる。
そんなフォクシー編に入ったのが304話なのだが、冒頭に番外編として4ページだけの「麦わら劇場」が描かれた。麦わらの一味が音楽で魚をおびきよせたら伝説の「七色ウツボブラザーズ」が出てきたという内容。
ここにも「虹」が描かれたのだ。
②現世界政府「加盟国と非加盟国」という概念がなくなり全ての国が一つになる
このラストを「虹」を描いて暗示しているのが53巻と66巻の表紙である。
女人国アマゾンリリーは明言こそされていないが、ハンコックが世界政府を嫌っていること、七武海が撤廃された途端に海軍が攻めてきたことから「非加盟国」の可能性は非常に高い。
リュウグウ王国は、200年前から加盟国ではあるが、実際には魚人差別が色濃く残ることでカタチだけの加盟になってしまっており、海底1万mに今なお追いやられ、「タイヨウのもとに移住する」という悲願は果たされていない。
つまり2つの表紙の「虹」は、これらの国に代表される「分断された国」が1つの国として認められ、世界が一つになることへの暗示と取れる。
また、66巻の表紙のタイトルは「タイヨウへと続く道」であるが、虹は神話で「天と地を繋ぐ道」とされていることから、海底1万mを地とするなら海上は天となり、それらを繋ぐ道として虹を描いた可能性もある。
以上の①と②の内容がもしも正しいとしたら、私達の世界の「虹」をシンボルとしている2つの旗と繋がってくるから面白い。
「虹」は平和と平等の象徴
Ⅰ.平和の旗
Ⅱ.レインボーフラッグ
Ⅰ.平和の旗
一つ目のこちらは「戦争反対の意思」を示す時に掲げる旗である。
2003年のイラク戦争時から世界各地で使用が広がっているようだ。
この旗は「平和」の象徴だ。
Ⅱ.レインボーフラッグ
二つ目のこちらは「LGBTの尊厳」を象徴するものである。
虹は「多様性」を表し、LGBTの社会運動などの際にシンボルとして掲げられる。
この旗は「平等」の象徴となる。
以上、2つの旗が持つ意味からも①と②で示した「虹」には「真の平和と平等」への暗示があると推察できる。
続いては、前述した③と虹の関係を示していく。
③麦わらの一味全員の夢が叶う
これを連想させるのが扉絵シリーズでミスG.Wが見せたカラーズ・トラップ「夢の虹色」である。(この虹が丸いことに注目)
「夢の虹色」の効果は、バロックワークスのメンバーをそれぞれが想い描く理想に変身させるというものだ。
虹には「見た人の夢が叶う」というメッセージがあると言われているが、実は同じ「丸い虹」が描かれたシーンが作中に一つだけある。
490話の「丸虹」だ。
これを一味で見たということは、一味の夢が叶うことを暗示していると思うのだ。だからミスG.Wの夢の虹色で描いた「丸虹」とこのシーンの「丸虹」をリンクさせたのではないだろうか。
ちなみに、490話の内容を簡単に説明すると「スリラーバークの戦いを終え次の航海へ→レッドラインに到着→魚人島への手がかりを探す」というものである。
つまり、ちょうど偉大なる航路を半周した節目の話であり、伏線が仕込まれる可能性が大いにある話だ。
そんなターニングポイントで描かれた「丸虹」には、もう一つの意味があると考えている。
先ほど「虹」とは「平和と平等の象徴」だと示したが、となると「丸虹」はこのように紐解ける。
①「虹」=「平和と平等の象徴」
②「丸虹」=「真の円」
➡︎「真の平和と平等」
これはつまり「巨大な王国」が栄えていた頃を「真の平和と平等の世界」とるすなら、天竜人が統べる現在の世界を滅ぼすことで真の平和と平等に"再び辿りつく"ことができるいう予兆を表しているのではないだろうか。
なぜなら、その予兆とリンクするように50巻のタイトルにもなっている490話のサブタイトルはこう付けられているからだ。
"再び辿りつく"
ONE PIECEの結末=虹がキーワード
ルフィは「世界を夜明けに導く者」だとされているが、これは天竜人が統べる現世界を「夜」として、その世界を終わらせて「新しい世界が明ける」という意味合いの可能性が高い。
つまり、物語の結末は言い換えると「夜明け」=「太陽が出ること」と取れる。
「明けない夜はない」という言葉が使われるが、「止まない雨はない」という言葉も同じ意味で使われる。
何が言いたいかというと、もし天竜人が統べる現世界を「雨」だとするなら、物語の最後には雨が止み「太陽」が出て平和と平等の象徴「虹」が架かるということである。だから結末を匂わせる描写には「虹」を描いているのではないだろうか。
これを示唆するかのように95巻からの表紙にはどうも「七色」を感じるのは考えすぎだろうか。
もしこれが「物語の結末へ向かっている」という暗示をしているならば、最終巻は分かりやすくキレイな虹色のデザインで描かれるのではないかと私は妄想している。
最後に
私は以前からドラゴンボールのエンディング曲「僕達は天使だった」の歌詞からのオマージュがあると提唱しているのだが、この曲の最後のひとフレーズを見てほしい。
ほら 君の瞳に 虹が架かる
最後の最後に「虹が架かる」と出てくるのだ。
つまり、結末は「虹が架かる」というオマージュを読み取れる。
他にも歌詞とONE PIECEの内容がリンクしているので、興味があれば是非この記事も見てほしい。
ここまで読んで頂ければ「虹」に関連する描写には重大な伏線が隠されている可能性が分かっていただけたのではないだろうか。
ほら、「D」を横にしたら「虹」に見えて来たでしょ?笑
それではまた。
コメント
丸虹の色が真逆だから麦わら達の夢は誰一人として叶わない